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探してるんだ、ずっとずっと。

 

私のおばあさまの、そのおばあさまの、そのもっともっと前のおばあさまが生きていた頃

この世界は、美しく豊かであったのだと、誇らしそうに私のおばあさまは話していた。

 

むかしのお話を聞くのは好きだった。

夜、おばあさまと二人で床へ入る。

私たちの住む土地の夜は、肌を刺すような冷たい空気が特徴で、いつもいつも寄り添うようにおばあさまと一緒に眠る夜は、とてもあたたかくて、眠るまでの間に聞かされるお惑星の話は私にとってどんなおとぎばなしよりもキラキラと輝いていたものだ。

 

​「むかしこの惑星は、美しく豊かでたくさんの者達が暮らしていたんだよ

けれど、未曾有の大災害が起きてね、一部を残して全部壊れてしまったの。

それでも私達がこうして生まれてこれたのは、お星様のカケラとご先祖様のおかげ。お前も感謝しながら生きなさい。そして世界を視るんだ、その目にしっかり焼き付けるんだよ。

そうして、お前の子供、その子供、もっともっと後の子供たちに教えてあげなさい。私や、私のおばあさま、そのおばあさま、そのもっともっと前のおばあさまがしてきたように、おまえもね。

いまの惑星(ほし)は決して豊かとは言えないかもしれないけど、私達は生きているだろう?

 

繰り返し、繰り返し言われた言葉。語り継げと、それが私たちの役目なのだと、おばあさまは言っていた。

だから、私は旅に出る。

 

「豊かではないかもしれないけれど、一生懸命に生きているこの世界はとっても美しいものだよ、だからお前はいまの世界の美しさも知りなさい。きっと見つけられるから、ね?」

 

星のカケラをさがしに、旅に出よう。きっと見つけられるから、世界の美しいものを。

 

 

文章 イラスト/霙音さらさ

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